食事療法中の男性

私が慢性腎不全の患者様の食事指導で感じたこと

透析する患者様のほとんどは糖尿病からくる合併症です。糖尿病になっても自己管理ができず好き放題食べた結果、腎臓を痛めてしまい糖尿病性腎症となり、それでも食事療法をせず透析するようになってしまった…。

「透析すればいいんでしょ」と、簡単に考えていた患者様は、「もっと早いうちに自己管理しておけばよかった…」と後悔の声を聞いたこともあります。

糖尿病ではカロリーを制限させられます。油の量も一日大さじ1杯程度。揚げ物もほとんど食べられません。しかし、腎臓病となるとたんぱく制限をしなければいけないため、腎臓に負担かけないために揚げ物を食べなければいけません。

透析になると、おしっこが出なくなり不純物を尿に出すことができなくなるため、水分・塩分・カリウム・リンの制限がでてきます。

病気を一通り経験した患者様は、「ダメと言われたかと思えば、今度は食べろと言われたり…よくわからん!」と混乱してました。

腎臓病の食事制限はどうすればいい?

みなさんは、コンビニでお弁当を選ぶときどのようなものを選びますか?とんかつ、からあげ、サバの塩焼き、エビフライ、付け合わせにスパゲティー、卵焼きやハンバーグ、ミートボール…などなど。お弁当のおかずのほとんどがタンパク質ばかりです。

居酒屋、会食などいろいろなところで外食しても、枝豆、刺身、たこわさび、唐揚げ、つくね、焼き鳥、〇〇のチーズ焼き…とタンパク質ばかりのメニューになってしまいます。

普段は仕事で、透析患者さんに『魚や肉はこのくらいにおさえてください。』『チーズは加工してあるのでリンが多いのでピザは控えてください。』と、食事指導を行っています。

仕事終わりに職場の人と居酒屋へ行き、自分たちの食べたいものがテーブルに並んで笑顔で「おいしいね~!」と食べる反面、私から注意されて悲しい顔をする患者様の顔が浮かび、『私が透析するようになったら、この料理の1/5くらいしか食べられないな…』と切ない気持ちになっていました。

腎臓病のカリウム制限

女性なら果物や野菜が好きだと思います。カリウムは摂りすぎてしまうと心停止してしまうため、食べる量に気を付けなければいけません。

一袋に3~4個のじゃが芋を使用したポテトチップスは、茹でこぼしせず油で揚げているのでカリウムが高く、ごはん代わりに食べていた患者様はよく救急車で運ばれてきていました。

カリウムの水に溶ける性質を利用し、野菜やいも類は茹でこぼしをしますが、その分出来上がり時間が倍かかってしまいます。仕事や育児をしなければいけない上に調理も倍以上手間がかかれば、負担がかかってきます。

腎臓病の食事療法を楽にするものは?

腎臓病になるといろいろ大変なことばかりですが、不安に思わなくて大丈夫です。今は管理栄養士が栄養計算をして、バランスよく作った制限食宅配サービスがあります。

コンビニ弁当と比べると少し高めのため、金銭面的に厳しいと途中でやめてしまう患者様もいらっしゃいます。しかし、透析するようになってしまうと元の生活に戻ることはできません。腎臓病の制限食の献立なので塩分やたんぱく質も抑えた、コンビニ弁当にはないバランスの良い内容となっています。

一日一食からでも試してみてはいかがでしょうか。